私の「想い出の一曲」 ラジオ主題歌
~「ジロリンタン物語」~ 出野徹之(KTV)
名優中村メイ子さんの訃報記事を読んでいたところ、「ジロリンタン物語」に出ていたことが判りました。岡山の実家で、多分小学2,3年生の頃、ラジオで聞いていた物語です。思いだすうちに半楕円形の黄土色のラジオ(5球スーパーとか言ってましたね)や古ぼけた畳の部屋など当時の風景が浮かんできます。ストーリーは余り記憶がないのですが印象に残る曲はよく覚えていて、テーマ曲はすぐに蘇ってきました。またワンフレーズごとに「ジロリンタン」が繰り返される歌詞も、うろ覚えながら出てきました。「イチ・ニー・サン・シー」と子供が軽く行進するようなテンポです。
早速、ネット検索。昭和28年に発表されたサトウハチローの少年少女物語が原作のようで、作詞はハチロー自身、作曲は古関裕而で、「杉の子こども会」と“歌のおばさん”安西愛子が歌う歌声を聴く事ができます。再生してみると、あの懐かしいテーマ曲が流れてきました。
安西愛子の声は“おばさん”ではなくてとても若々しく、「こども会」のコーラスが可愛らしく唱和しています。ラジオで「ジロリンタン物語」という番組タイトルを読んでいたのは確か、女性の声であったと記憶しています。
♪ 毎朝手をふり ジロリンタン
友達呼んでる ジロリンタン
ぐりぐり坊主の ジロリンタン
まあるい目玉の ジロリンタン
この町 あの町 隣町
だれでも知ってるジロリンタン ♪
歌詞は5番まであって、毎回5番まで歌っていたのかな?と新たな疑問が湧いてきます。
「今週の明星」
毎週月曜夜8時から放送の、BS日テレ「こころ歌」を楽しみに視ています。
音楽大学を卒業した男女の歌手(FORESTAというグループ)がピアノ演奏に合わせて、明治から現代まで、様々な曲を楽譜に忠実に歌うだけのごく素朴な番組です。その回のテーマによって、収録してある曲を編集して放送するため、ある歌手が時には長髪だったり、次の歌では急に短くなったり、突っ込みどころは満載なのですが、それを承知で毎回視ています。
去年11月のある月曜日、視ていると聞き覚えのある3拍子の前奏曲が軽快に流れてきました。「え~? こんな曲もやるの?」
この番組を見始めて10年以上になりますが、この曲を聴くのは初めてです。
「“今週の明星”の歌」です。これも半楕円形のラジオの前で毎週日曜日に聴いていた番組です。両親、二人の兄も居た昔は結構家族揃ってラジオの前で、という風景は当たり前のような気がしましたが。
男性アナウンサーが少し高い声で「今週の明星!」とタイトルを歌い上げると軽快な前奏が始まるのです。
「こころの歌」ではスーツ姿の男性、ロングドレスの女性、全14人のフルコーラス。一瞬、昭和の時代に戻って、歌手たちがラジオのマイクに向かって生放送をしているかのような錯覚に陥りました。
♪ 輝きよ 輝きよ 今宵また美わしく
若き夢とあこがれの光の美星よ
夜空高く愛の星は 若き胸にささやき
思い込めて忍び寄るは 楽しい歌の美星よ ♪
昭和25年に始まった番組で、毎回3人の人気歌手が出演、それぞれの好きな歌を歌ったりしたそうですが、内容は全く記憶になく、テーマ曲だけ鮮明に記憶しているのです。歌詞は若さに溢れて如何にも明るく良い時代を想像させますし、「美星:びほし」という単語は勿論辞書にも出てきませんが、“時代がかって”良いでしょう?「私の秘密」の回答者で博識ぶりを発揮した藤浦洸の作詞、古関裕而の作曲だそうです。そう言えば今話題の「ブギウギ」で笠置シヅ子が歌う「アイレ可愛や」も藤浦の作詞、私のような年配者の記憶に残る良い歌を沢山書いているのだと今更ながら感心します。
思いがけない歌に出会ったものですから、最近、頭の中は「今週の明星」のテーマが鳴りっぱなしです。
関西テレビ 出野徹之